ふじけんの資材置場

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ヘイリー・ベネット主演「スワロウ(原題:Swallow)」について"感察"する!!

ヘイリー・ベネット主演「スワロウ(原題:Swallow)」について"感察"する!!

毎度ご訪問ありがとうございます。ふじけんです。

アラサーサラリーマンの私ですが人生の唯一の生き甲斐である映画を観て”感じた”ことを”考察”、つまり”感察”したいと思います。要するにただの戯記事です。

今回は2021年1月1日(金)公開の「スワロウ(原題:Swallow)」についてです。

作品のネタバレを含みます。また個人の感想であり、事実とは異なる記載が含まれることがありますのでご容赦ください。

 

異食症

作中の主人公ハンターが陥る症状は現実にも存在する症例のようです。妊娠すると食の好みが変化することがあり、無性にアイスクリームが食べたくなったりするにはよくあることだそうです。そういった食の変化の中で氷や土など通常食することがないものを好んで食べるようになることが異食症とされます。氷を好んで食べるようになることは氷食症、土を好んで食べるようになることを土食症と言います。
原因としては栄養障害・栄養不良(特に鉄欠乏性貧血・亜鉛欠乏)、極度の精神的ストレス、脳腫瘍、寄生虫などが挙げられていますが、いずれも因果関係は不明です。これらの要因によって、通常食さないものを食する症状が発症するのが異食症であるという理解に留まります。

劇中、彼女は氷から始まり、ビー玉、画鋲、(様々な飲み込めるもの)、電池、(金属)、ドライバーを飲み込んでいますが、やはりビー玉以降は彼女ならではの症例と言えそうです。作中、すべての異食について明確に描かれているわけではないですが、彼女の強い感情の変化があると彼女は異食を行います。いずれも彼女の「食べたい」という欲求に基づく行為と考えられますが、画鋲、ドライバーといった鋭利な、自分を傷つける可能性があるものを「食べたい」と欲求するのは何故なのでしょうか。

彼女の生い立ち

劇の中盤、異食を夫に知られたハンターはカウンセリングを受けることになります。その中で語られた彼女の出自がこの作品の重要なポイントになると考えてます。彼女の母親は宗教右派、そして彼女の父親はレイプ犯であり、ハントはその娘なのです。作中でも説明がありますが、宗教右派は中絶に対して否定的な立場をとるようで、彼女の母親も中絶は選択しませんでした。例えレイプによる妊娠でも。。。自分には犯罪者の血が流れている(悪い種子というやつですかね)ことを彼女はしっかりと認識しています。

私は彼女の異食は妊娠による氷食症と彼女の生い立ちに起因する潜在的な罪の意識、そしてその罰としての「異食」が複合されたものだったのではないかと考えてます。

彼女が選んだ結末

妊娠と罪意識、この二つに対して彼女が選ぶ選択がこの物語の結末となります。
彼女はこの2つに対し、真っ向から立ち向かうことを選択します。妊娠については中絶を、罪意識に対しては父親との話し合いによる解決を選択します。

レイプ犯の父親に会いに行くハント。彼の家に着くとなんと誕生日パーティ中、しかも幸せそうな所帯を持っているではないか。。。憎むに憎み切れない切ない演出ですね。そして父親との対話の中で彼女は父親に「私はあなたと同じか?」と問い、「お前はお前だ、自分とは違う」という回答とともにその場を立ち去るのでした。

最後、女子トイレの中で彼女は中絶を行います。事後、個室から出て手を洗い鏡と向き合うハント。良き妻、良き母を周囲に期待されるストレスと個人的なコンプレックスを自力で振り払った彼女の姿は、身なりこそ崩れているものの、とても美しいと感じました。

変態ものを期待して見に行ったら、Women encouragingな作品だった。
思いがけず良い作品に出合えて良かったです。

 

参考

eiga.com

klockworx-v.com

www.msdmanuals.com

shirokuma.lekumo.biz