ふじけんの資材置場

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庵野秀明作「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」について"感察"する!!

庵野秀明作「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」について"感察"する!!

毎度ご訪問ありがとうございます。ふじけんです。

アラサーサラリーマンの私ですが人生の唯一の生き甲斐である映画を観て”感じた”ことを”考察”、つまり”感察”したいと思います。要するにただの戯記事です。

今回は2021年3月8日(月)公開の「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」についてです。

作品のネタバレを含みます。また個人の感想であり、事実とは異なる記載が含まれることがありますのでご容赦ください。

※咀嚼中につき、随時更新。明日も仕事だし。。。

私にとってのエヴァがどういう作品か

まず私にとってエヴァンゲリオンがどういった作品か関係を述べておきます。というのも、TVシリーズをリアルタイムで見た世代と新劇場版から見た世代ではこのエヴァンゲリオンに対して抱いている「想い」が違うと考えているからです。

スターウォーズを4~6をリアルタイムで見た世代とプリクエルである1~3から見始めた世代ではスターウォーズに抱く想いが違うのと同様です。スターウォーズの場合はこの想いの違いがシークエルである7~9へ抱く感想で表れているように思います。

まず私が最初見たエヴァヱヴァンゲリヲン新劇場版:破で、しかも劇場ではなくDVDで見ました。そこからTVシリーズを1話から見て、旧劇場版を観て、新劇場版:Qを映画館で観て、シン・エヴァンゲリオンを劇場で観るに至っています。学生の時にリアルタイムでTV版エヴァを観ていたようなエヴァンゲリオンネイティヴ(私の造語です、おそらく?)ではありません。

TVアニメで言うとエヴァンゲリオンより先にまどか☆マギカを観ており、漫画でいうと進撃の巨人を読んでおり、ジャンプで言うとNARUTOBLEACHの世代です。当然、宇宙戦艦ヤマト銀河鉄道999は観ていないし、ガンダムは後から追っかけました。

ですから、私はエヴァやヱヴァから大きな影響を受けた人間ではないと思います。暇なときに映画を観ようと思って、Googleで「おすすめ アニメ 映画」で検索したときにAKIRAやパプリカがHITするのと同様に、エヴァンゲリオンがHITしたから見てみたに過ぎないのです。

そういったアニメや漫画に興味があるが、先輩方や本職の人?に比べずいぶんとリテラシーの低い人間がこのシン・エヴァンゲリオン劇場版:||を観て抱いた感想を以下で述べていくものと位置づけください。また考察ではないので重ねてご容赦ください。

 

新劇場版におけるシンジとミサトの関係は実は険悪だった

シン・エヴァンゲリオンを観るにあたり、新劇場版序~Qを見返し、まず気づいたことが実はシンジとミサトの関係が険悪だったということです。険悪という表現が適切か分かりませんが、シンジとミサトは適切な信頼関係を抱けていないように見受けられます。

まず序では第5の使徒迎撃後、シンジがミサトに命令違反を咎められ宛てもなく家出をしますが、TVシリーズと異なり駅のホームでの「ただいま」「おかえりなさい」のくだりがありません。見返したときは尺の都合か意図的か分かりませんでしたが、Qとシンを観てある程度意図してカットしていたのではないかと推測します。

また破の冒頭、ゲンドウとシンジがユイの墓参りの後、送迎に着たミサトの車に乗るシーンではシンジはミサトに対してそっぽを向いており、受答えも素っ気ないです。新劇場版:破ではレイやアスカとの他のヒロインとの関係が非常に良好であったのに対し、ミサトとだけは信頼関係が築けていないのです。

なぜこのような設定の違いがあったかというと、「保護者になれないミサト」の問題を新劇場版では解決しようとしたのではないかと考えてます。多くは語りませんが、シン・エヴァではその問題を取り扱っており、一定の回答を示しているように思います。

北上ミドリというキャラクターは非エヴァファンの代理者

北上ミドリというキャラクターは新劇場版:Qで登場したキャラクターです。ピンクの髪、ギャル言葉などヴィレクルーの中でも異色な存在として描かれています。そんな彼女ですが、2020年5月16日にNHK BSプレミアムにて放送された『発表!全エヴァンゲリオン大投票』のTVシリーズと新劇場版3作品に登場する29名を対象とした(人気)キャラクター部門では上位20人にランクインしておりません。作中で目立った活躍もなく、キャラの掘り下げ不足もあってかこのような結果となったのでしょう。

だとしたらわざわざ彼女をこのエヴァンゲリオンという大舞台に登場させたのはなぜでしょうか、またその役割は何だったのでしょうか。

私はこのキャラクターの役割は「どこまでもこの現実社会にいるエヴァファンでない一般人であること」だと考えてます。(メタ的なキャラとでもいうのだろうか)

まずキャラクターの設定であるギャル(※)という点、現実社会にいるギャルはエヴァファンではないでしょう。(レッテル張りになってしまいますが、コンテンツテンプレートということで)。この現実世界のギャルである彼女はこのエヴァンゲリオンという不思議の国に引きずり込まれている状態なのです。そのため、彼女の言動は作中どこまでも実際の現実的です。

まず彼女が登場する新劇場版:Q冒頭での青葉シゲルとの会話。彼女の初登場シーンであり、作品におけるキャラクターの印象を決める重要なシーンですが、彼女の第1声は「それ、私の仕事ですか?」というセリフ。彼女にとってヴンダーに搭乗することはリアリティのない漠然とした使命ではなく「仕事」なのです。

そしてシン・エヴァンゲリオン。ゲンドウを追いかけるため初号機に乗ろうとしたシンジに対し彼女は銃を向けます。あんたのせいでめちゃくちゃだと、そしてミサトに対しては身内に甘すぎだと言い放ちます。
このシーンはシンジが自らの意思で父との対話を望み、初号機に乗ろうという場面であり、エヴァファンからしたらシンジに全量ライドする熱いシーンなのですが、現実社会の一般人の代理者である彼女は以下のように「水」ではなく「釘」を差しているように思います。

「いい大人がエヴァに夢中になっている間に現実社会(日本)めちゃくちゃなのに、何をいまさら「着地」しようとしてんの?身内(エヴァファン)に甘すぎ」

この劇中最高に熱いシーンに彼女を登場させたのはベストタイミングだと考えます。そして一連のやりとりにおける彼女の最後の締めくくりのセリフは

「明日生きていくことだけを考えよう」

なのです。これは和解ではなく諦めです。

その後、巨大化した綾波の頭をみて彼女が「絶対ヘン」というのも、実際に映画を観てる現実社会の我々が「ヘン」と思ったから、「怖い」ではなく「ヘン」と言ったのです。(あの3Dはないでしょ。。。と思えるかどうかです。)

個人的には北上ミドリというキャラクターめちゃくちゃ大事だと思うのですが、そのキャラクターがランキングの対象外、つまりエヴァファンの間から疎外されているというのはなんとも皮肉めいているなぁと思います。

 

※ギャルとしてのアスカ(イマジナリー)とミドリ(リアリティ)

 

ーー2021/3/8